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2016年ヘルスケア関連企業の新規上場と主要上場企業の決算動向~バイオベンチャーの新規上場は1社

2017/07/07 掲載

株価は激しい動きの年に

 申年の2016年は、欧州と米国でそれぞれ起きた「予想外の出来事」によって株価が乱高した年だった。2015年の年末の日経平均株価は1万9,000円超え、年末の終値としては4年連続の上昇となり、19年ぶりの高値で取り引きを終えた。2016年に入ってからは、中国の経済減速や資源国の景気低迷などで株価の値下がりが続き、2月中旬には1万5,000円台を割り込むまでに下落。さらに6月24日に英国が行った欧州連合(EU)から離脱の賛否を問う国民投票においてEU離脱派が勝利する予想外の展開となった世界経済の先行きを不安視して、日経平均株価は1,286.33円値下がりした。下げ幅は2008年のリーマンショックを上回った。その後7月末に日銀が打ち出した追加の金融緩和策によって、株価は回復傾向にあった。

 しかし、11月のアメリカ大統領選挙では市場関係者の予想を覆して共和党のDonald Trump候補が勝利すると日経平均株価は919.84円の値下がりとなった。しかし、暴落した株価は、一夜にしてⅤ字回復。その後はTrump相場が株価を上昇させ、2016年の大納会日経平均株価は5年連続の上昇となる19,114.37円で引けた。為替も2つの予想外の出来事の影響を受けた。年初は1ドル=120円近辺で始まった円相場だったが、一時は99円台に突入するなど円高が進行。秋以降は一転して円安が加速し、12月15日には1ドル=118円台まで円安が進む激しい値動きの1年であった。

 

ヘルスケア関連企業の上場は5社で減少

 2016年の新規上場企業数は83社と、2015年の92社に比べて減った。LINEやJR九州と大型案件もあったものの、やや盛り上がりに欠けた年になった。前年比の減少は2009年以来。ヘルスケア関連企業についても、前年の7社から5社の上場と減少した(表1)。その内、バイオベンチャーはフェニックスバイオの1社とさびしい年となった。

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※表をクリックすると別ウィンドウでPDFが開きます 

 過去を振り返ると、02年にアンジェスMG、トランシジェニックの2社、03年では、メディビック(現メディビックグループ)、メディネット、オンコセラピー・サイエンス、総合医科学研究所(現総医研ホールディングス)の4社が、04年においては、新日本科学、DNAチップ研究所、そーせい(現そーせいグループ)、LTTバイオファーマ(2011年8月に上場廃止)、タカラバイオの5社、05年ではメディシノバ・インク、エフェクター細胞研究所(現ECI、2012年11月に上場廃止)の2社、07年は免疫生物研究所、ジーエヌアイ、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの3社、08年はナノキャリア、カルナバイオサイエンス、アールテック・ウエノ(2015年11月に上場廃止)の3社、09年ではキャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、テラの3社、2010年はセルシード、2011年ラクオリア創薬、シンバイオ製薬、スリー・ディー・マトリックス、カイオム・バイオサイエンスの4社、2012年はジーンテクノサイエンス、UMNファーマの2社、2013年にはメドレックス、ペプチドリーム、リプロセル、オンコリスバイオファーマ、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの5社が、2014年にはアキュセラ・インク(現窪田製薬ホールディングス)とリボミックの2社、2015年には、サンバイオ、ヘリオス、グリーンペプタイドの3社が上場している。このようにバイオベンチャーはほぼ毎年、公開を達成している。新産業の育成を目的に、経済産業省は02年から3年後の05年3月までに大学発ベンチャー企業1,000社設立の計画(平沼プラン)を掲げ、研究助成対策や経営支援制度を行ってきた。その成果といって良いであろう。ただし、バイオベンチャーを取り巻く環境は刻々と変化している。その中で、公開企業の決算を見ても事業に成功した企業グループと苦戦を強いられている企業グループに線引きができるようになった。勝ち組として挙げる企業は、ペプチドリームとそーせいグループである。前者は3,000億円、後者は2,000億円を超える時価総額となった。表2に2016年度の主要上場バイオベンチャーの業績をまとめた。


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2016年の新規上場を果たしたファニックスバイオ

 同社は02年3月、広島大学の吉里勝利教授が率いる広島県組織再生プロジェクトの成果である、ヒト肝細胞を有するマウスの医薬品開発への利用と培養細胞による毛髪再生療法の実用化を目的として株式会社エピフェニックスが設立された。03年3月に商号を株式会社フェニックスバイオに変更した。2016年3月に株式を東京証券取引所マザーズに上場した。代表取締役の藏本 健二氏は1981年4月にトーメン(現 豊田通商)に入社。1995年に三和澱粉工業の経営企画室長、04年9月に特殊免疫研究所代表取締役社長を務めた人物である。 

 同社は、マウスの肝臓の70%以上がヒトの肝細胞に置き換えられたヒト肝細胞キメラマウスであるPXBマウスを作製する技術を持つ。PXBマウスを用いて、医薬品開発における創薬過程のうち、主に前臨床過程においてサービスを展開している。医薬品の安全性、有効性を確保するためには、臨床試験においてヒトでの代謝を確認することが必要となる。薬物代謝に重要な役割を持つ臓器である肝臓がヒト肝細胞に置き換わっているPXBマウスを利用することでヒトの代謝を予測することができる。加えて、PXBマウスは、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなど、ヒトの肝細胞にしか感染しないウイルスを研究するツールとなることも実証されており、抗ウイルス薬の開発にも利用されている。 

 また、PXBマウスから得られる新鮮ヒト肝細胞であるPXB-cellsの販売を行っている。新薬候補の探索や最適化の過程では、短時間で大量の候補物質を評価するために、ロボットを用いた自動的解析手法であるin vitroハイスループットスクリーニングが製薬企業で採用されている。このスクリーニングでは、主にヒト由来の細胞が用いられており、特に代謝に関連する評価ではヒト肝細胞が一般的に使用されている。しかしながら、供給をドナーに依存する新鮮ヒト肝細胞は、元々の入手量自体が潤沢ではないうえに供給時期も不定期である。さらに、多くの場合、冷凍保管される。一旦冷凍されたヒト肝細胞は、細胞の機能がある低下する問題もあった。一方、同社のPXB-cellsは、PXBマウスから随時灌流採取した肝細胞を、非凍結のまま新鮮な状態で提供が可能であり、PXB-cellsを利用することによって創薬研究者は、肝細胞本来の機能を保持した状態で実験・評価することができる。さらにPXBマウスの肝臓から、コラゲナーゼ灌流法によってヒト肝細胞を分離すると、約1.5×108個のヒト肝細胞が得られる。新鮮ヒト肝細胞としての高い薬物代謝能を持ち、B型肝炎ウイルスの長期培養系としても有効である。 

 2017年3月期の業績については、売上高は12億2,800万円(前年同期比1.0%増)、営業利益は1億4,200万円円(同25.3%減)、経常利益は1億3,300万円(同10.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1億2,800万円(同2.5%増)だった。地域別売上高については、日本が3億8,900万円、米国が5億3,600万円、欧州が1億2,400万円、その他地域は1億7,800万円。主要な顧客としてスイスRoche社が筆頭となっており、その売上げは2億1,400万円となった。2018年3月期については、売上高は14億8,000万円(同20.5%増)、営業利益は2億6,300万円(同85.4%増)、経常利益は2億6,200万円(同96.8%増)、2億3,200万円(同80.9%増)の2桁の増収増益を見込む。

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