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2017年ヘルスケア関連企業の新規上場と主要上場企業の決算動向~バイオベンチャーの新規上場は1社で前年同数

2018/08/15 掲載

 2017年の国内新規株式上場企業数が前年比10社増の96社となり、2年ぶりに増加した。2008年のリーマン・ショック後、最多だった2015年の98社に次ぐ水準になった。衆議院議員選挙期間は株価が上がるという説の通りに、さらには与党大勝の結果を好感して日経平均株価は東京証券取引所開所以来最長となる16連騰を記録した。11月9日には日経平均株価は2017年の最高値となる2万3382.15円を付けた。2万3000円を上回ったのは、1992年1月10日以来と市場は賑わった。ただし、ヘルスケア関連企業に限ると前年の5社から1社減少して4社の上場と振るわなかった(表1)。バイオベンチャーの上場は、ソレイジア・ファーマ1社に留まり、さびしい年となった。

表1
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 過去を振り返ると、2002年はアンジェスMG(現アンジェス)、トランスジェニックの2社、2003年では、メディビック(現メディビックグループ)、メディネット、オンコセラピー・サイエンス、総合医科学研究所(現総医研ホールディングス)の4社が、2004年においては、新日本科学、DNAチップ研究所、そーせい(現そーせいグループ)、LTTバイオファーマ(11年8月に上場廃止)、タカラバイオの5社、2005年ではメディシノバ・インク、エフェクター細胞研究所(現ECI、12年11月に上場廃止)の2社、2007年は免疫生物研究所、ジーエヌアイ、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの3社、2008年はナノキャリア、カルナバイオサイエンス、アールテック・ウエノ(2015年11月に上場廃止)の3社、2009年ではキャンバス、デ・ウエスタン・セラピテクス研究所、テラの3社、2010年はセルシード、2011年はラクオリア創薬、シンバイオ製薬、スリー・ディー・マトリックス、カイオム・バイオサイエンスの4社、2012年はジーンテクノサイエンス、UMNファーマの2社、2013年にはメドレックス、ペプチドリーム、リプロセル、オンコリスバイオファーマ、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの5社、2014年にはアキュセラ・インク(現窪田製薬ホールディングス)とリボミックの2社、2015年には、サンバイオ、ヘリオス、グリーンペプタイドの3社、2016年にはフェニックスバイオが上場している。このようにバイオベンチャーはほぼ毎年、公開を達成している。新産業の育成を目的に、経済産業省は2002年から3年後の2005年3月までに大学発ベンチャー企業1000社設立の計画(平沼プラン)を掲げ、研究助成対策や経営支援制度を行ってきた。その成果といって良いであろう。ただし、バイオベンチャーを取り巻く環境は刻々と変化している。その中で、公開企業の決算を見ても事業に成功した企業グループと苦戦を強いられている企業グループに線引きができるようになった。表2に2017年度の主要上場バイオベンチャーの業績と2018年の業績予想を纏めた。

表2
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ヘルスケア関連企業2017年新規上場
【ソレイジア・ファーマ】

 ソレイジア・ファーマの沿革を見ると2006年12月、医薬品開発事業の準備拠点としてJapanBridgeを米国で設立し、2008年09月にはソレイジア・ファーマに商号を変更している。2017年3月に東京証券取引所マザーズに株式上場を果たした。ソレイジア・ファーマは、日本をはじめとするアジア諸国におけるがん領域の革新的医薬品の開発および販売を目的として設立されたスペシャリティ・ファーマである。世界各国の優れた製品を導入し、アジア圏で開発し導出するビジネスモデルである。

 ソレイジア・ファーマのパイプラインは、SP-01、SP-02、SP-03、SP-04の4品目ある。

ソレイジア・ファーマのパイプラインの現状

2017年12月期決算説明会資料から

 SP-01は、セロトニン5-HT3 受容体拮抗薬のグラニセトロンを持続的に放出するよう設計された経皮吸収型製剤。グラニセトロンを経皮投与することによって、悪心・嘔吐や口内炎が原因で薬剤の服用が困難な状態にある抗悪性腫瘍薬を投与中の患者に特に有用と考えられている。5日間にわたって安定的に血中グラニセトロン濃度を維持することが可能な薬剤。2014年6月に新薬承認申請(New Drug Application: NDA)を中国当局へ提出し、現在、審査中の段階である。

 SP-02は、新規の有機ヒ素化合物。血液がんおよび固形がんを適応症に開発が進んでいる。ソレイジア・ファーマは2011年3月にSP-02の日本、中国、その他東南アジア数カ国における権利を、2014年7月には米国欧州等の権利を、それぞれ米ジオファーム・オンコロジーから獲得した。米国で実施されたSP-02L(注射剤)の第II相臨床試験において、悪性リンパ腫、特に末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)に対する臨床効果を確認している。2016年3月に再発または難治性のPTCL患者を対象としたアジア国際共同第Ⅱ相臨床試験を開始した。米国および欧州の当局は、SP-02のPTCLの適応に対してオーファンドラッグに指定している。経口剤については、米国で固形がんの第I相試験を終了した段階にある。

 SP-03は、口腔内病変の被覆、保護を目的とする非吸収性の液状機器。口腔粘膜に適量を適用すると数分以内に口腔粘膜の水分を吸収してゲル状になり、物理的バリアを形成することにより、口内炎で生じる口腔内疼痛を押さえて緩和する。口内炎は、口腔内粘膜の有痛性潰瘍により特徴づけられ、がん化学療法および放射線療法における重度の副作用のひとつである。口内炎は、放射線療法を受ける頭頸部癌患者のほぼすべて、化学療法中の患者の30%から75%、造血幹細胞移植の前処置中の大部分の患者で発現する。ソレイジア・ファーマは2015年3月に、SP-03の日本と中国での開発事業化にかかる独占的ライセンス契約をスウェーデンのカムルス社と締結した。SP-03はカムルス社の特許技術である「FluidCrystal」が活用されている。適用後、数分以内で効果的に口腔内の局所疼痛を緩和し、その効果が8時間程度持続する。日本では2017年7月に承認を取得し、2018年5月に国内独占販売権導出先であるMeiji Seika ファルマ社から「エピシル口腔用液」として販売が開始された。中国においては2016年5月、医療機器製造販売承認申請(New Medical Device Application:NMDA)を提出している。

 SP-04 (PledOx)は、がん化学療法に伴う末梢神経障害の適応症を目指す。2017年11月にSP-04の日本、香港、マカオを含む中国、韓国、台湾における独占的開発販売権をスウェーデンのプレッドファーマ社から獲得した。 プレッドファーマ社は、これまで当該末梢神経障害を適応としてSP-04の研究開発を欧米にて実施。第II相までの臨床試験等の結果、フルオロウラシル・フォリン酸・オキサリプラチンからなるFOLFOX療法を受ける進行性大腸がん患者において、治療中および治療後の末梢神経障害を改善する効果が示されていること、さらにFOLFOX療法によるがん治療そのものへの影響を生じさせないことも示唆されている。プレッドファーマ社が実施していた日本人ボランティアを被験者とする第I相臨床試験が2018年2月に終了した。独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)協議のもと、プレッドファーマ社主導の第III相国際共同臨床試験への参画を決定した。2018年下半期に試験が開始される予定である。

 2017年12月期の業績(IFRS)については、売上収益は4億1000万円(前年同期比18.0%減)、営業損失は10億900万円(前年同期は4億6200万円の損失)、税引前損失は10億1600万円(前年同期は4億7400万円の損失)、当期損失は10億700万円(前年同期は4億7400万円の損失)となった。パイプラインの開発強化を目的とする開発投資のうち研究開発費が7億7300万円、開発を推進するための整備などへの投資があり、販売費及び一般管理費6億4700万円を計上したことで赤字幅が膨らんだ。2018年12月期の連結通期業績については、売上収益は1億円から6億円、営業損失、税引前当期損失、当期損失はいずれも30億円から32億円を見込んでいる。

 

 時価総額1000億円超の勝ち組の4社

 国内バイオベンチャーで勝ち組と称される企業として、ペプチドリームとそーせいグループを挙げることができる。バイオベンチャーの時価総額を見ると、ペプチドリームは5233億円、タカラバイオが2721億円、サンバイオは1365億円、そーせいグループは1261億円、1000億円を超える企業が4社となっている(2018年7月2日現在)。ちなみに製薬企業をみるとキョーリン製薬ホールディングスが1710億円の時価総額となっている。

 

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