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世界初の長時間作用型のDPP-4阻害薬を武田薬品工業が国内申請

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武田薬品は2014年3月7日にジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬のコハク酸トレラグリプチン(開発コード:SYR-472)の国内申請を発表した。適応症は2型糖尿病治療薬。トレラグリプチンが承認されると、武田薬品では10年6月に発売した安息香酸アログリプチン(一般名、販売名は「ネシーナ」)に続き、2成分目となるDPP-4阻害薬となる。世界的に見ても1社で2つの成分のDPP-4阻害薬を販売する企業はない。

 

トレラグリプチンの最大の特徴は、血中半減期が長いことである。国内のフェーズI試験では、血中半減期が既存の1日1回投与型のDPP-4阻害薬よりも長い38時間から54時間であることが示された。DPP-4阻害活性作用についても、投与後168時間まで継続されたことが報告されている。ちなみに1日1回投与型のDPP-4阻害薬の臨床投与量における半減期は、トップ製品のDPP-4阻害薬のリン酸シタグリプチン水和物(「ジャヌビア」/「グラクティブ」、MSD/小野薬品工業)で9.6時間から11.6時間、アログリプチンでは14.7時間から19.9時間と報告されている。

トレラグリプチンの用量設定(12.5mg、25mg、50mg、100mg、200mg)の国内のフェーズⅡ試験は、無作為化プラセボ対照二重盲検で実施された(n=320)。対象は、食事療法と運動療法で十分な血糖コントロールが得られなかったHbA1c値(NGSP値)が6.9%以上かつ10.5%未満の2型糖尿病患者。主要評価項目は、投与12週間後のHbA1c値のベースラインからの変化量、2次評価項目にはHbA1c値、空腹時血糖(FPG)などが設定された。

主要評価項目の投与12週間後のHbA1c値変化量は、プラセボ群が0.35%だったのに対し、トレラグリプチンの12.5mg投与群が-0.37%、25mg投与群が-0.32%、50mg投与群が-0.42%、100mg投与群が-0.54%、200mg投与群が-0.55%と用量依存性の傾向が見られ、いずれもプラセボ群と比べて有意に低下した(p<0.0001)。HbA1c値変化量の経時変化を見ると、SYR-472を投与したいずれの群も投与開始2週間後で有意に低下し、投与12週間後まで低下し続けた。

2次評価項目である投与12週間後のFPG変化量については、プラセボ群が9.8mg/dLだったのに対し、トレラグリプチンの12.5mg投与群は-5.4mg/dL、25mg投与群が-10.5mg/dL、50mg投与群が-7.6mg/dL、100mg投与群が-11.5mg/dL、200mg投与群が-12.4mg/dLで、いずれの群もプラセボ群と比べ有意に低下した(p<0.05)。FPG変化量の経時変化においては、いずれの群も投与開始2週間後に減少し、投与12週間後までその値が維持される傾向が確認された。DPP-4阻害率については、投与2週間後にピークに達し、投与期間の12週間まで維持された。DPP-4活性阻害率は用量依存的に阻害率が上昇した。 各群において3%以上の発現率だった有害事象は、鼻咽頭炎、咽頭炎、胃腸炎、膀胱炎、湿疹などだった。

 

武田薬品は、国内で52週間という長期間の投与における多施設非盲検試験で実施したフェーズⅢ試験(n=680)とトレラグリプチンの100mg投与群、アログリプチンの25mg投与群、プラセボ投与群を比較する二重盲検試験でのフェーズⅢ試験(n=245)などの試験結果を基に申請した。

現状、経口2型糖尿病治療薬の服用は毎食前、朝晩1、毎日1回など飲み忘れが起きにくい投与回数になっている。骨粗鬆症に処方されるビスホスホネート製剤のように服用後に一定時間、横になれないなどといった規制が必要である場合を除き、週1回を服用する例をあまり見ない。承認後は、週1回型薬剤が服用コンプライアンスにどのように影響するのか注目されるところでもある。

 

 

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