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2018年の国内大手企業の注目のイベント1

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今回は武田薬品工業、アステラス製薬、大塚ホールディングスについてパイプラインを中心に2018年に予想されるイベントをまとめた。

 

【武田薬品工業】

収益構造の改善が見られている。2018年3月期の通期業績を2017年10月に上方修正した。期初予想から売上収益で400億円、営業利益で200億円を増加させた。前期の2017年3月期実績に対して売上収益で0.7%の減収となるものの、営業利益で28.3%の増益となる予定である。この結果、2018年3月期予想の売上収益対営業利益率は11.6%となり、2017年3月期実績から2.6ポイントの改善となる予想だ。

業績を牽引する製品は、潰瘍性大腸炎およびクローン病治療薬の「エンティビオ」(ベドリズマブ)である。発売以来、好調を維持している。同社のChristophe Weber社長は2015年10月に「ベドリズマブの売上げは20億ドル」と目標を示したが、関係者からは高すぎる値だとの意見も聞かれた。しかし、現状、Weber社長が市場に示した以上の展開となっており、ピーク時売上げで30億ドルも不可能ではない勢いだ。2018年3月期の第2四半期の累計売上げは970億円(前年同期比43.4%増)、通期では2,000億円を売り上げるであろう。国内では2017年8月に潰瘍性大腸炎を適応症とする申請が行われた。審査が順調に進めば、2018年中盤に承認を取得すると見られている。

武田薬品の今後の成長を牽引すると思われる薬剤がプロテアソーム阻害薬の「ニンラーロ」(イキサゾミブクエン酸エステル)だ。国内では2017年5月に発売された。米国では2015年9月に、欧州では2016年11月に承認されており2018年3月期の第2四半期の売上げは217億円(前年同期比63.8%増)となり、通期では500億円を売上げると見ている。

ベドリズマブとイキサゾミブは、武田薬品が2008年4月に買収を公表した米Millennium Pharmaceuticals社の創製品。88億ドルの買収価格は高いと話題となったが、現状の両製品のポテンシャルから考えてみるとMillennium社の買収は正解だったと結論付けられそうだ。

2018年中に承認の取得が期待される主なパイプラインは、2017年4月に申請された「アドセトリス」(ブレンツキシマブ・ベドチン)の欧州における再発性皮膚T細胞リンパ腫の追加適応である。欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)は2017年11月、全身療法の前治療歴のある成人のCD30陽性皮膚T細胞リンパ腫の効能追加に対して承認を推奨した。次に、2017年6月に国内申請されたモノアミン酸化酵素B阻害薬のメシル酸ラサギリン(TVP-1012)である。同剤は海外で販売実績を持つパーキンソン病治療薬となっている。

 

【アステラス製薬】

2018年3月期の通期業績を2017年11月に修正した。期初予想から売上収益で180億円上方修正としたものの、営業利益では320億円下方修正した。これらの数字は17年3月期に対して1.1%の減収、14.9%の減益となる。利益面では減損損失の計上が大きく影響した。2018年3月期予想の売上収益対営業利益率は17.1%となり、2017年3月期実績から2.8ポイント悪化した。非経常的な項目を除外したコアベースの売上収益対営業利益率は19.9%で1.0ポイントの悪化となった。

業績を牽引する製品は、抗がん剤の「イクスタンジ」(エンザルタミド)と過活動膀胱治療薬の「ベタニス」/「ミラベトリック」/「ベットミガ」(ミラベグロン)だ。2018年3月期第2四半期の累計売上げを見ると前者は1,403億円(前年同期比11.4%増)、後者は576億円(同20.6%増)と通期ではブロックバスターの仲間入りをすると見られる。一方、「ベシケア」(コハク酸ソリフェナシン)は497億円(同16.9%減)と2桁の減収率だった。

 

期初には、ロモソズマブの承認が期待されていたが、2017年中に承認取得できなかった。ロモソズマブはベルギーUCBと米Amgen社の共同開発品である。国内ではAmgen社とアステラス製薬との国内合弁会社であるアステラス・アムジェン・バイオファーマが2016年12月に骨折の危険性の高い骨粗鬆症の治療薬として申請した。しかし、2017年5月に重篤な心血管イベント発生率がロモソズマブ投与群で2.5%、対照薬のアレンドロン酸投与群では1.9%となった試験結果が発表された。そのデータを問題視した米食品医薬品局(FDA)は2017年7月、ロモソズマブの申請に対し非承認を意味する審査完了通知(Complete Response Letter)を発行したのである。国内においては慎重な審査が継続されているが、2018年に承認を取得するのか注目されるところである。ロモソズマブは、Wntシグナル伝達経路を遮断して骨形成を阻害するスクレロスチンに対する抗体であり、承認を取得となればファーストインクラスの薬剤になる。

2018年中に承認の取得が期待される主なパイプラインを挙げると、SGLT2阻害薬のイプラグリフロジン L-プロリンとDPP-4阻害薬のリン酸シタグリプチン水和物の配合剤を2型糖尿病の適応で2017年5月に国内申請した。DPP-4阻害薬ではトップ売上げを誇るシタグリプチンとの組み合わせだけに期待が持てる。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療薬として海外で販売されている「ディフクリア」(フィダキソマイシン)について17年7月に国内で申請を行った。

 

さらに、エンザルタミドの非転移性去勢抵抗性前立腺を対象としたPROSPER試験において主要評価項目に設定した無転移生存期間の延長を達成したことから適応拡大の申請が準備されている。新成分としてはFDAが2017年10月に急性骨髄性白血病の適応に対してファストトラック指定したギルテリチニブ、経口貧血治療のロキサデュスタット、関節リウマチ治療の臭化水素酸ペフィシチニブなどの申請も期待される。

 

 

【大塚ホールディングス(HD)】

ピーク時に6,500億円超の売上げを同社にもたらした「エビリファイ」(アリピプラゾール)であるが、米国での特許期間が2015年4月に満了した。同剤の2015年12月期の売上高は3,475億円、2016年12月期は954億円、2017年12月期予想は660億円と推移しており、減収幅は縮小しその影響は年度ごとに薄れてきた。その結果、2017年12月期の売上高は1兆2,600億円(前年同期比5.4%増)の増収、営業利益では1,200億円(同18.6%増)増益の見込みで、業績は2016年12月期で底を打った形となる。

 

1番の関心事はアリピプラゾールの継承品に位置付けられている「レキサルティ」(ブレクスピプラゾール)の成長である。米国で2015年7月に「統合失調症」と「大うつ病補助療法」の2つの適応症の承認を獲得、翌月8月に発売した。2017年12月期の第3四半期の累計売上げは341億円(前年同期比69.9%増)、通期では480億円の計画であり、アリピプラゾールの継承品としては、まだ力不足と言わざるを得ない。売上げを伸ばすためには、販売地域や適応症の拡大は不可欠ということだ。2017年1月に統合失調症を適応症として国内で申請され、2017年12月に開催された厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会審議会において承認が了承された。欧州では2017年3月に申請が受理をされているため2018年には日欧での発売が見込まれよう。また、期待されていたアルツハイマー認知症におけるアジテーションを対象とした2つの試験では症状の改善を示したものの、一貫した結果が得られなかった。そのため、追加フェーズIIIを2018年前半に開始する計画だ。この追加試験は、ブレクスピプラゾールのポテンシャルを示す上で重要な意味を持っている。

 

2018年中に承認の取得が期待される主なパイプラインを挙げると、米国でのバソプレシンV2受容体阻害薬の「サムスカ」(トルバプタン)。常染色体優性多発性のう胞腎の追加フェーズIIIのREPRISE試験が成功裏に終了して2017年11月に申請、同月にFDAが申請を受理した。また、2017年10月に国内申請した塩酸ナルメフェン水和物もアルコール依存症における飲酒量低減の適応で承認が見込まれる

 

 

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