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第13回 エピジェネティクス(Epigenetics)

 こんにちは。もも太です。
 体内細胞のゲノムDNAのある特定の配列が変化すると病気になったり、体への発現の変化所見が見られたりすることは、設計図の異常に伴う現象なので、なるほどと理解できると思いますが、DNA配列の変化は全くないけれど、後天的にDNA配列に何らかの修飾が起こることによって、遺伝子発現が制御される仕組みがあります。これが、エピジェネティクスという仕組みです。今回はここに焦点を当ててみました。

 Wikipediaによると、エピジェネティクスは、「後成説 (epigenesis)」と「遺伝学 (genetics)」に由来する造語だそうです。この概念の歴史は古く、1940年代から続いていますが、がぜん注目されてきたのはここ10年ほどです。進化・発生・分化などの研究からスタートしているのですが、現在注目されているのは、がん研究への関連性について、です。ゲノムDNAの過剰なメチル化あるいは低メチル化などに代表されるエピジェネティックなDNA配列への修飾が、がんの発生や進展に関連しているのではないかという研究が盛んに行われており、これらの論文がたくさん発表されてきています。先ほどPubMedという文献検索サイトで、「Epigenetics」というワードで検索してみたのですが、なんと16,385件もヒットしました。まさにこうした修飾が遺伝子の発現を制御していることに驚きを隠せません。しかも、このような制御が、もしも各細胞によって能動的に行われているとすれば、まさに驚くべきことです。

 さて、過剰なメチル化あるいは低メチル化などのエピジェネティックな事象についてもう少し掘り下げてみます。我々ヒトを含め動物のゲノムDNAには、シトシンとグアニンという塩基が隣接しているCpG配列とよばれる部位があり、この配列のシトシンの5位にメチル基を付加する反応をメチル化といいます。ゲノム領域のあちこちにCpG配列はありますが、その出現頻度が特に高い領域をCpGアイランドと呼びます。そして、遺伝子発現を開始させる領域のプロモーターと呼ばれる配列付近には多くのCpGアイランドが含まれています。通常、この領域がメチル化されると遺伝子の転写が制御されます。メチル基が何となく邪魔をしていることで遺伝子の制御に変化がある点は、なるほどと納得できる現象ではないでしょうか。

 実際に、メチル化が直接的または間接的に転写因子のDNAへの接近を妨げる、DNAメチル化がヒストン修飾を誘導する、などの事例が報告されています(例えば、がんを抑制する遺伝子の転写レベルでメチル化を受けることによって遺伝子が働かない現象をもたらすという報告、など)。このような作用を受けるがん抑制遺伝子は複数あり、それぞれががん発生と密接に関係しているようです。このことは、エピジェネティックな状態を制御できる薬剤があれば、DNAのメチル化を正常化し、がんを治療することも可能になることを意味します。

 まだ、エピジェネティクスにおけるDNAメチル化については、その重要性にスポットライトが当たりはじめたという状況かもしれません。しかし、生活習慣病や、老化の制御などにも関連しているとの報告があり、これらの研究成果が、今後の製薬開発や医療の分野で重要な役割を果たしていくと思われます。新しい研究に、DNAメチル化解析を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 当社ではこのDNAメチル化解析についてDNAメチル化解析サービスを提供しています。
ご興味のある方はお気軽に、当社営業部☎011-644-7333またはsales@gene-lab.comまでお問い合わせください。

 (次回に続く)

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