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第39回 全自動細胞診標本作製装置のご紹介

2020/04/30 掲載

 今回は、弊社で導入している全自動細胞診標本作製装置BD トータリス™ マルチプロセッサーについてご案内します。

 弊社の病理部門では2019年にBD トータリス™ マルチプロセッサー(以下、マルチプロセッサー)とBD トータリス™ スライドプレップ(以下、スライドプレップ)を導入いたしました。

 マルチプロセッサーは、細胞診検査および遺伝子検査における「分注」「前処理」工程を全自動化します。つまり、2次元バーコードによって検体のマッチングを行った後、BD シュアパス™ コレクションバイアル(検体容器)から細胞診スライド作製工程における検体の分注、遠心分離、アスピレーション、デカントといった前処理工程後までの工程全てを自動で実施することができるのです。また、LIS(Laboratory Information System:臨床検査情報システム)と接続することによって、細胞診やHPV※1テストなどの遺伝子検査の検体データ識別を行うとともに、コンタミネーション※2防止に配慮した設計でHPV、クラミジア・トラコマチス、および、ナイセリア・ゴノレア(淋菌)などの遺伝子検査に対応した「分注」が可能です。操作は全て操作性に優れたタッチスクリーンで行っています。

 スライドプレップは、Liquid Based Cytology(以下、LBC)標本※3の作製にフルオートメーションをもたらし、多彩な検体(婦人科検体・非婦人科検体)に対応しており、専用遠心分離チューブとスライドの検体マッチングが可能です。操作時間短縮のため自由な位置にスライドをセットすることが可能で、大容量試薬タンクおよび廃液タンクのモニタリング機能も装備しています。

 子宮頸部細胞診は検査精度の向上や精度管理が重要な課題であると考えられています。従来、わが国で使用されていた子宮頸部細胞診の報告様式は、日本母性保護医協会が作成したクラス分類(日母分類)でしたが、精度管理のうえで様々な問題が指摘されていました。そこで2008年12月に日本産婦人科医会より、子宮頸部細胞診の新しい報告様式として、ベセスダシステム2001準拠子宮頸部細胞診報告様式(通称ベセスダシステム)が提唱され、従来の日母分類からの改訂が推奨されました。(2020年4月現在はベセスダシステム2014準拠子宮頸部細胞診報告様式)

 近年、LBCの導入によって、ベセスダシステムにおける精度管理で標本作製の標準化や、不適正標本の明確化などが可能になりました。また、鏡検範囲が小さくなったことと、Thinlayer標本※4のため細胞診判定の効率化も可能となりました。

 マルチプロセッサーやスライドプレップの導入によって、48検体/バッチで1日に7バッチ(336検体)もの標本作製が可能となります。

 弊社でもLBCでの依頼が年々増加しており、お客様のご要望に応えるべく子宮頸部細胞診の精度管理も含め、より一層の研鑚を積んでまいります。

※1 HPV
ヒトパピローマウイルス(HumanPapillomaVirus)の略で、「子宮頸がん」の原因とされるウイルス
※2 コンタミネーション
目的となる物質に意図せず異物が混入すること
※3 LBC標本
細胞診における細胞検体処理法の一つで、採取した細胞診検体を保存液中に分散させ、細胞をスライドガラス上へ薄く転写する細胞診用の標本作製方法
※4 Thinlayer標本
採取した細胞を固定保存液に直接回収し、細胞を分散させ単層となるようにした細胞診標本作製方法

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