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技術情報

トキソプラズマ(Toxoplasma)

トキソプラズマとは

 トキソプラズマ (Toxoplasma gondii)は単細胞生物でネコ科の動物を終宿主とする細胞内寄生原虫です。中間宿主としてヒトの他、豚、ヤギ、ネズミ、ニワトリなど、200種類以上の哺乳類や鳥類などの恒温動物に感染することが知られています。

 ヒトへの感染は主に、トキソプラズマのシスト(殻を被り活動休止している状態)やオーシスト(卵のような状態)に汚染された水や食品などを経口摂取することによって感染します。日常的には、加熱が不十分な食肉中のシストを経口摂取することや、飼い猫のトイレ掃除、園芸、砂場遊びなどによって手に付いたオーシスト、または洗浄不十分な野菜や果物に付着していたオーシストを経口摂取し感染が成立することが多いとされています。

 最近では、ジビエ料理に用いられるエゾシカの約半数がトキソプラズマに感染していることが判明しました。

ヒトが感染すると

 通常、成人がトキソプラズマに感染してもおよそ80%は症状が無いのですが、2割でリンパ節腫脹や発熱、筋肉痛、疲労感などの症状が出現し、数週間で回復します。その後、シストが組織中に形成され慢性感染に移行します。

 慢性感染では症状がないため臨床的に問題になることは少なく、臨床的にシストを検出することは困難とされており、また、シストを除去する治療法がありません。

 一般的に、免疫能が正常であれば、症状が発現しないと言われていますが、胎児、HIV 患者や臓器移植患者など免疫抑制状態にある場合は、初感染またはトキソプラズマ症が長期間続き、脈絡網膜炎、中枢神経系障害、肺炎や心筋炎など重篤な日和見感染症を引き起こします。

 なお、感染予防のワクチンはありません。

トキソプラズマ母子感染と出生児障害リスク

 既に、トキソプラズマに感染されており抗体陽性の場合、妊娠されても胎児に感染することは殆どありません。しかし、妊娠中に初めて感染された場合は胎児に感染しやすくなり、重篤な影響を与える可能性が高くなります。

 トキソプラズマによる胎児感染 (先天性感染) を起こすと、胎児・新生児期から水頭症、脳内石灰化、小頭症、網脈絡膜炎、小眼球症、精神神経・運動障害、肝脾腫などを起こします。遅発型として、成人までに痙攣、網脈絡膜炎、精神神経・運動障害などを起こす場合があります。小腸粘膜などから母体内に侵入したトキソプラズマ原虫は、マクロファージを含む白血球に侵入し血流に乗って全身へ広がります。

 妊婦では、まず胎盤に感染し、その後胎児脳や肝臓などの実質臓器に感染します。胎盤はトキソプラズマ感染が生じやすい組織で、シストを形成し持続感染します。

 胎児感染のリスクは母体が感染した時期によって異なり、妊娠初期の感染では胎児感染率は低いが症状は重度といわれています。妊娠経過とともに胎児感染率は増加し、妊娠末期では60〜70%になりますが、症状は軽度や不顕性(病気の過程が始まっているが症状がまだ表れていないこと)が多くなります。

 生後数年して眼病変が確認され、先天性トキソプラズマ症と診断されるケースもあります。

ジェネティックラボでは研究用トキソプラズマ解析を承っております。詳細は「トキソプラズマPCR」ページをご覧ください。

母子感染の予防と診療に関する研究班, 「トキソプラズマ妊娠管理マニュアル 第4版」, 2020, http://cmvtoxo.umin.jp/, (参照 2020年1月22日)

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